日本の情報サービス産業における価値創造の展望－デジタル組織の実現に向けた新たなアプローチー

摘要

ここ数年、情報サービス産業の枠組みが大きく変化しつつあることを実感している。 ①情報システムエンドユーザーのリテラシー向上を背景とした関与のあり方と企業の情報システム導入における意思決定のメカニズム、②企業内情報インフラに対し情報サービスプロバイダーが生み出す付加価値の所在、③情報技術そのものの革新レベルのそれぞれが変質しつつある。 その結果、過去40年近くにわたって情報サービス産業が構築してきた「プロトコル」が通用しなくなっている。 これに対し、多くの情報サービスプロバイダーは、プロジェクトマネジメントや品質管理の強化により対応を試みる。 しかしながら、この取組みは業界をウォッチするいわゆるアナリストなどからは必ずしも評価されていない。本質的な変化への対応でなく、従来の延長線上での解決策の模索であると指摘するものさえいる。