食品工場における微生物制御の現状：特にカビ対策を中心に

摘要

食品製造環境において微生物を原因とする製品汚染事故は、消費者の信頼を失うばかりか、製品処分という経済的損失も大きい。 また消費者にとって、食品環境微生物による健康被害も無視できず、そのために製造環境での微生物管理が重要課題となる。 しかし、報道で知るように食品の微生物による事故は決して減少傾向ではない。 本稿では、製造環境にみる微生物、特にカビとその制御の観点にたって食品事故事例をとりあげ、その原因となったカビについて汚染要因を考えてみたい。 さらに食品環境微生物の生物学的な問題点として近年カビ毒がクローズアップされていることからカビ毒に関わる情報をまとめ、国内での規制の現状と今後の方向にふれてみた。 最後に制御の重要性はカビの持つ性質を十分に理解することが基本であることを述べてみたい。