電子部品の最新技術動向－ロボット用電子部品の動向編

摘要

日本は産業用ロボットの分野で世界一のロボット大国と言われてきた．世界の産業用ロボットの4割以上は日本で使われており（グラフ1），産業用ロボットの設計製造でも先進の技術をもつ．さらに，最近では家庭，医療福祉，災害救助，ホビー，アミューズメントなど，より身近で生活に密着した分野で用いられるロボットが大きな話題を集めている．このような，産業用以外のロボットにはさまざまな種類があるが，商業的にはどれもまだ市場を確立してはいないので，一括してサービス·ロボットと呼ばれている．製造工場の中だけで使われる産業用ロボットは，外見を人間や動物に似せることもあまりなく，作業に必要な機能に特化して高度に合理化されている．だが，サービス·ロボットは一般の人々が直接利用するものが多く，あらゆる面で人間生活と共存·融合していく必要がある．たとえば，人間型ロボット（ヒューマノイド）やペット型ロボットのように，親しみや共感を得やすいような外見，動作が工夫されることが多い．また，人間と同じ言葉やアクションを相互に理解できる高度なヒューマン·インターフェースが求められる．さらに，生活の身近に存在するためには，さまざまな状況を想定した安全性が要求される．これらの点で，生活に密着したサービス·ロボットの実現には多くの困難があり，産業用ロボットよりもかなり遅れて発展が始まった．70～80年代に急成長をとげた産業用ロボットに対して，人間型ロボットや各種のサービス·ロボットは90年代以降になって現れはじめ，身近な話題として注目されるようになったのはこの数年である（表1）．