2004年米国の石油需給と2005年の見通し

摘要

米国のエネルギー情報局（EIA）が1月31日に発表した“Petroleum Supply Monthly（January2005）”によると，2004年の米国の石油需要（一次基地出荷ベース）は前年比2.4％増の20,507千バーレル／日となった。 2003年に20,034千バーレル／日と初めて2,000万バーレル／日の大台に乗せた米国の石油需要は，2004年のWTIピーク55.64ドル／バーレルに象徴される急騰にもかかわらず旺盛な伸びを続けた。 米国と中国の著しい石油需要の増加が，2004年原油価格急騰の要因の一つであったことはいうまでもない。 しかしながら，この石油価格急騰が両国の経済成長を大きく鈍化させたという明確な兆候はない。 各種機関では2005年は高価格により石油需要の伸びも小幅になるとの観測を示しているが，果たしてそうなるだろうか。 価格急騰の主たる要因となったいわゆる地政学的リスクは鎮静化に向かっているといっていいのだろうが，米中を中心とした世界的な精製能力不足は何ら解消されていない。 サウジの原油生産能力は100万バーレル／日ほど拡大したが，探鉱·開発が結実するのはまだ7～8年も先のことである。 余剰生産能力ギリギリの原油生産が続く限り，WTI45ドル前後の高値は変わりようがない，との見方が支配的になっている。