トヨタにおける金型技術の課題と展望

摘要

1980年代からの海外市場の拡大に伴い（図1）、海外の車両生産拠点が増加し（図2）、それによりプレス金型の需要も大幅に増加した。一般的にプレス金型は、製作後に良品が出るまでに多くの補正が必要であり、トライアウト機と生産機間のプレス機械の差に対するマッチング作業も必要となる。また、良品が出た後も車両品質のつくり込み過程において、部品寸法公差内でのチューニングが発生するケースもある。特にプレス機械差へのマッチング作業や部品寸法公差内でのチューニング作業は、プレス金型を日本から現地へ出荷した後に発生するため、その作業対応のために海外拠点に造型機能をもたせるニーズが高まっていった。近年は現地の型製作技術·技能の向上が著しいことと円高の急速な進行もあり、現調化ニーズがさらに高まっているが、これは一方で「日本のモノづくり」存続の危機とも捉えられる。そこで本稿では、当社のグローバル化への取組みと、当社の考えるプレス技術分野での日本のモノづくりの存在意義について紹介する。