人類の歴史からみた“食”と宗教のかかわり：第13回 （第9章） 中国食文化による美食家（グルメ）の転換－貪欲の美食家から共生の美食家へ

摘要

世界的な行動詩人は，約30年前にイギリスの著名な歴史学者であるアーノルド·J·トインビー博士と人類の未来を見据えた対談を行いその対談集を著しているが，それは，現在では人類の教科書ともいわれている．その対談のなかで，両者は「将来，世界の統合のカギを握るのは中国であろう」という点で一致している．近年，世界経済や国際政治の舞台でも，中国の影響力はますます大きくなってきている．したがって，本稿で中国の思想や文化を掘り下げつつ，“食”を題材に人類の未来を展望していくことは，時宜にかなったものであると考える．