砂と砂浜の地域誌（18）茨城県中部の浜と砂--変貌する浜を見る

摘要

茨城県中央部の鹿島海岸から，大洗·阿字ヶ浦，そして村松·豊岡までの海岸を訪ねて見ました，直線的な鹿島海岸では，次々とヘッドランドが建設され，日本刀のような海岸から，鋸のような海岸？ へ変わりつつあるようです．砂の横方向への移動を止め，海岸を安定させるというヘッドランドの効果のほどはよく見えませんでした．海水浴場に駐車場は必要なのでしょうが，そのためにつくられた緩傾斜護岸堤の下の浜が風前の灯火となっているのは，気がかりでなりません.直線的な浜辺に大型港湾（半島）が出現し，直線的な浜は入り江の湾曲した浜への変形が進行しており，入り江中央部では浜の侵蝕防御に躍起となっている状況も見られました．最新の港湾や原子力研究施設が林立する脇で，海の波との延々たる戦いが続いているのは奇妙な光景でもあります．海岸での土木工事·建設工事を行う場合には，もっともっと自然の声に耳を傾ける必要があるのでは？ と感じられてならない旅でした．