IX．高分子合成化学の最近の進展と接着技術への応用の可能性(5)ルテニウム触媒によるオレフィンメタセシス重合

摘要

炭素一炭素二重結合の組み換えを成長過程とするオレフィンメタセシス重合には，図1に示す2種頬の重合形式がある。 開環メタセシス重合(ROMP：ring-opening metathesis polymerization)は連鎖重合の一種であり，一方，非環状ジェンメタセシス重合(ADMET：acyclic diene metathesis polymerization)はエチレンの脱離を伴う逐次型重縮合の一種である。 いずれも，他の重合法では通常合成できない特異な構造をもつポリマーを与えることから，材料化学的にも興味深い反応である。例えば，ノルボルネン類やジシクロペンタジェン類の開環メタセシス重合によって得られるポリマーは，緩衝材や光学プラスチック，さらには，住宅関連設備や自動車部品として実用化されている。