社会実験データベースによる避難支援ロボットの社会受容性の評価手法

摘要

近年ロボット技術の開発が大きく進展し，サービスロボットが商品化されるなど，社会導入の動きが加速している．また東日本大震災以後，避難者の生活支援が喫緊の課題となり，被災者支援ロボットの事業化が急がれている．ロボットの開発期間を短くするには技術開発と社会受容性評価，すなわち社会実験を同時に行うことが有効であり，社会共創的開発手法とよばれる[1]．しかし本手法の具体的な手順は定式化されていない．そこで本研究では，具体的手順の例示を目的に，福島県の補助金事業である「災害対応避難者アシストロボットおよびその要素技術の改良と産業化，産業集積化事業」（以下，本事業）を対象に，六つの開発テーマを三つの社会受容性評価手法により比較評価する．その結果により，社会実験データベースによる社会受容性評価法と，開発の進捗度評価法を提案する．なお，本論文における社会受容性とは，製品の普及見込みを指す．ニーズ，シーズに加え，法制度，利害対立，生活習慣の地域差などの要因を含む評価指標である．