痙性麻痺の外反扁平足に対しボトックス治療を併用した 外側柱延長術の治療成績

摘要

当センターでは，外反扁平足に対して踵立方骨関節固定を用いた外側柱延長術(Lateral Column Lengthening ：以下，LCL)を行っている.痙性麻瘅の外反扁平足では，そもそも尖足要素 が強いが，LCLではさらに尖足変形が増強するため，アキレス腱延長術併用が必須であった.これ に対して，2010年からは術前にボトックス治療(Botulinum Toxin:以下，BTx)で尖足の矯正を行つ たので，その治療成績を報告する.痙性外反扁平足4例5足を対象とした.手術時年齢は平均15.8 歳，経過観察期間は平均18.4か月であった.調査項目はBTx前後の足関節の背屈角，術前後の単 純X線像での計測値とした.足関節背屈角は平均値(施注前/施注後)で，膝屈曲足関節背屈角-3° /12°，膝伸展足関節背屈角-17/-1であつた.X線像計測の平均値(術前/最終）は，正面像の距 踵角が33.6/31.8°，距骨第1中足骨角31ソ17.2°, talonavicular coverage angle 51.8V18.4°,側面 象から距踵角44°/44°，距骨第1中足骨角41.2°/19.4°, calcaneal pitch angle―1.6°/14.2°であつた. アキレス腱延長術の替わりにBTxを用いたLCLで，十分な外反扁平足の矯正を得ることができた.