肥満の程度により重症度が異なるか-大腿骨頭すベり症40例の検討-

摘要

肥満の程度によって大腿骨頭すベり症の重症度力違うかについて調査した.対象は1995 年から2010年までに治療を行った40例（男児29例，女児11例，ホルモン異常2例）で，平均年齢 は男児11歳3か月，女児11歳1か月であった.診断までの期間は平均81日であった.調査項目は 身長体重分布，肥満度，発症形式，重症度，体育以外のスポーツ歴である.男児140cm以上76.7%， 40 kg以上86.7%，女児140 cm以上63.6%， 40 kg以上54.5%で男児より低い結果であった.肥満 度は肥満あり77.5%で，軽度9例，中等度11例，高度肥満11例であった.発症形式はAcute type 9例，Acute on Chronic type16例，Chronic type15例で，重症度は軽度21例，中等度14例，高度 5例であった.肥満度が高いほどAcute typeの割合が多い傾向であつたが，重症度とは関係がな かった.スポーツ歴あり27例，なし13例で，肥満なしかつスポーツ歴なしはわずか2例5%にすぎ なかった.肥満とスポーッによる力学的負荷が加わってすべりが発症しやすくなる可能性があると 考えた.罹患期間と重症度についても今後検討が必要である.