生物振動の概念はロボティクスでいかに使われるべきか？

摘要

原始的な動物であっても，発現する振る舞いを適切に自己組織化しながら実世界という過酷な環境に対処していく“しぶとさ”や“たくましさ”を持っている．このような適応的運動機能あるいは生存脳機能とでも呼ぶべき能力の背後には，一体どのような“からくり”が存在しているのだろうか．本稿では，アメーバ様運動と生物振動という2つをそのからくりを探るための起点として，ロボットを構築しながら構成論的に考察する筆者らの事例研究を紹介する．いまやロボットは，生物学にとってもきわめて重要なツールとなりつつあるのである．