時間的順序判断課迅における視覚·触覚間クロスモーダル注意の寄与

摘要

Broadbent（1958）やCherry（1953）の先駆的研究以降，注意が知覚情報処理に及ぼすダイナミックな効果について多くの知見が蓄積されてきている．近年では，単一の感覚モダリティに対して作用する注意の効果だけでなく，視覚一聴覚等の異種感覚モダリティ間にまたがって作用するクロスモーダル注意に関しても注目が集まりつつある（Driver＆Spence，1994，1998a，1998b）．クロスモーダル注意作用の機能的特性の検討が進むことで，異なる感覚モダリティ間の情報変換や，特定の感覚モダリティを越えた情報の統合といった，高次脳機能の解明につながる手掛かりが得られることが期待されている（Macaluso＆Driver，2001）．