新しい病害虫管理の概念－EBC（Evidence-based Control）による防除体系の構築と防除の実際（65）

摘要

量的データの統計解析については間違った手法を適用した事例をみることは少ない。 これは、量的データについて確立されている適切な解析手法が広く知られており、一般化しているためである。これに対して、間違いが多いのが質的（頻度）データの統計解析である。 量的データに適用すべき手法を何の疑問も持たずに質的（頻度）データにも用いている場合が大部分である。病害虫防除技術開発の場面では量的データよりも質的（頻度）データを扱うことが多いのではないかと思われるが、そのことを考慮した解析手法が用いられているのをこれまで筆者はほとんどみたことがない。 なかでも問題があるのが多重比較検定で、学会誌や研究会誌、成績概要書等において質的（頻度）データに対応した適切な多重比較検定が適用されている例を知らない。 つまり、すべて間違ったやり方が行なわれているということである。