調湿建材への応用が期待される 新素材‘ソヽスクレイ'

摘要

国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議（COP21）において，温室効果ガス削減を約束するパリ協定が採択された。今後も温室効果ガス削減への取組みとして，民生部門における更なる省エネを求められることが想定される。しかし，無理な省エネ行動は健康 面への悪影響を及ぼしかねないことから，エネルギー消費を抑制しつつも快適性を維持できる新技術の開発が求められている。夏季において快適と感じる環境を実現するには，湿度も重要な因子となる。体感温度が湿度の影 響を受けることは，湿度が比較的低い5月上旬は室温が28度程度でも不快と感じないことからも実感できる。また，湿度が低ければ，発汗による体温調節が有効に機能するため，適切な湿度制御は熱中症対策としても有効と考えられる。居住空間において相対湿度低減効果が期待できる高性能機能性建材の実用化に向けて，産業技術総合研究所（以下，産総研）が開発した新素材（以下，“ハスクレイ”と称す）への期待が高まっている。