涙点閉鎖術後の角膜および結膜におけるローズベンガル染色についての検討

摘要

目的：涙点閉鎖術を施行されている重症の涙液減少型ドライアイに対してローズベンガル（RB）染色のスコア化を行い，角膜と結膜を分けて術前との比較を行った．対象と方法：確実に涙点閉鎖術が行われている（術後角膜フルオレセイン染色スコアがAD分類でA0D0に改善しているもの）重症ドライアイ患者13例17眼を対象とした．角膜と結膜の耳側および鼻側におけるRB染色のスコア化（0，1，2，3の4段階）を行い，術前のスコアと比較検討した．ただし，術後のRB染色については，眼表面のRB主濃度を術前と同程度にするために，下眼瞼涙液メニスカスの涙液をビデオメニスコメータでモニターしながら，シルマ試験紙で術前と同程度にまで吸引し，その後RB染色を行った．結果：術前後の比較において，角膜のRB染色スコアは有意（p＝0．0025）に改善したが，鼻側および耳側球結膜では有意な改善はなかった（それぞれp＝0．058，p＝0．7）．結論：RB染色の意味から考えると，重症涙液減少型ドライアイにおける結膜表面のムチンの被覆障害には，水分減少以外の別の要因が関与していると考えられた．