川崎病の診断の'コヅ'と免疫グロブリン療法のエビデンス

摘要

川崎病の診断の"コヅ"を主要6症状について概説した．川崎病の診断はまず疑うことからはじまる．主要症状が揃った川崎病はその存在を知っていればそんなに難しくはない．ただ症状が揃わない，いわゆる不全型の診断はかなり難しい．不全型はけっして軽症の川崎病ではなく，冠動脈癌の形成もみられ，時機を逸しない積極的な治療が求められている．本稿では主要症状の見方の"コヅ"を中心に述べ，不全型診断の助けとなるよう記述した．つぎに免疫グロブリン療法のエビデンスについて述べた．本稿では免疫グロブリン療法の歴史的背景，現状と限界，不応例に対する治療，に分けて記述し，初回治療に不応の症例の割合，本療法における冠動脈障害の発生頻度を中心に概説した．川崎病の治療の歴史は40年以上に∨及ぶが（「サイドメモ」参照），その治療法を根底から変えたのは1984年に古庄らが報告した免疫グロブリン療法であった．この治療法により冠動脈障害発生頻度は激減し，有観期間·入院期間ともに劇的に短縮した.現在の本療法の問題点は初回治療に不応の症例に対する追加治療法の確立で，r冠動脈癌を"ゼロ"に」を合い言葉に治療法の模索が続いている．