遺伝子診断の定義,分類,倫理的取り扱い着床前診断

摘要

遺伝病家系のクライエントに対する救済法の技術として着床前診断の概念がつくられた.実施にあたって日本産科婦人科学会はガイドラインを会告として提示し,重篤な遺伝病を対象として着床前診断を審査のうえで行うことを決定した.重篤な遺伝病の定義やそれ以外の対象についての議論はなお残存し,諸夕掴との相違の大きさについても強い指摘がある.体外受精卵に対する染色体スクリーニング検査をpreimplantation genetic screening(PGS)とよび, PSDのひとつとして考えられているが,わが国ではその実施に対して慎重な意見が多い.診断する遺伝情報には, X連鎖遺伝病に対する性別診断,単一遺伝子病に対する疾患遺伝子診断,さらに染色体スクリーニングを対象とする染色体診断に分類される.本来,単一遺伝子病に対しては疾患遺伝子診断が本流である.各種の多様な遺伝子病型に対応する必要があり,それぞれに最良のテーラーメイド診断法を開発する必要があるり社会の構成員の多様性を保ち.共存するために.相互に立場を尊重し.容認できる寛容性が確保されるためのプロセスが必須と考えられる.