子宮頸癌におけるHPVウィルス発癌メカニズムをターゲッ卜にした発癌予知バイオマーカーと治療薬開発に関する研究

摘要

子宮頸癌は全世界で年間53万人が発症し約半 数が死亡している疾患であり，いまだ女性の部位 別癌死亡率の第4位を占めている.特に妊孕性を 有する若年世代の健康を脅かす存在となってい る.子宮頸癌の早期発見のため最も一般的に行わ れているのが，細胞診を繰り返し行う方法である. しかし，細胞診のみで中等度異形成以上を発見す る感度は50-80%と低いため，コルボスコピーな どの精密検査が必要な場合もある2).そこで，HPV-DNA検査との併用検診の有用性も指摘されている. HPV-DNA検査は，癌で多くみっかるハイリ スクHPV群を検出できる.しかし，予後診断はで きないため，過度の管理や，過剰な治療を受けて いる場合も多い（図1).異形成の治療には子宮頸 部円錐切除術が施行されるが，術後，妊娠した場合の早産のリスクは2.5-5倍増えるとされる.