Variable number of tandem repeats (VNTR)解析の手法と結核対策への—活用について

摘要

結核は今なお世界で年間140万人の命を奪い，日 本国内でも年間2万人以上が発病し，2,000人以上 が命を落としている。結核の蔓延防止には患者の早 期発見，治療完遂が重要であり，患者の早期発見の ためには通常の検診に加え，接触者の調査等の積極 的な疫学的調査が必要であり，結核菌の分子疫学的 解析はその積極的疫学的調查をサポートする有効な ツールとして認識されている1)。Variable number of tandem repeats(VNTR)解析法は，これまで主流であ つたRestriction Fragment ixngth Polymorphism (RFLP) 解析法と比較し，菌株識別能?再現性?迅速性?簡 便性に優れ，更にVNTR解析の結果は菌株プロファ ィルが数字列で表現されるため，施設間でデータを 共有することがより容易な解析法である。国内に おいてもVNTR解析法はその優位な解析特性を生か し，集団感染事例時の単なる菌株の異同判定に留ま らず，データ共有による広域的な菌株比較により通 常の疫学調査では把握できなかった感染源?感染ル —トの解明,既往歴のある患者の新たな感染か 再燃かの判断，MDR ? XDR等の高リスク菌株の効 率的なスクリーニング等7)，地域分子疫学および臨 床現場の両面において活用が期待されている。本稿 では結核菌の各種分子疫学的解析法を交え，VNTR 解析法の原理?手法について解説する。