耐糖能のスクリーニング検査-75gブドウ糖負荷試験なしで耐糖能異常を診断することは可能か？-

摘要

我が国では，糖尿病患者数は年々増加をたどり， 2007年に厚生労働省が発表した糖尿病実態調査によ れば，「糖尿病が強く疑われる人」は890万人， 「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせると 推定で2,210万人にのぼっていることが報告された。 これまでの糖尿病治療は,?従来より75g経口ブド ゥ糖負荷試験(OGTT)などで糖尿病と診断された後 での合併症，すなわち網膜症ゃ腎症，末梢神経障害 などの糖尿病特有の細小血管障害(microangiopathy) と心血管;)矢患(cardiovascular disease: CVD)をはじめ とする大血管障害（macroangiopathy)進展をいかに抑 制するかという点に力が注がれてきた。それに対し て，境界型，いわゆる耐糖能異常（impaired glucose tolerance: IGT)と空腹時血糖異常（impaired fasting glycemia: IFG)に関しては，長らく保険診療上は病 名が認められず最近までは治療の対象とは扱われて いなかった。