適応光学における波面再構成に対するマルコフ確率場モデルを用いた確率論的推定法の応用

摘要

適応光学において，シェアリング干渉計と呼ばれる波面センサを用いる波面再構成問題に対して，マルコフ確率場モデルを用いた事後周辺確率最大推定法を構築する．この方法では，波面勾配の観測精度に応じて事前確率モデルを選択的に適用する事後周辺確率最大推定を行うことによって，より精度の高い波面再構成を実現する．次に，モンテカルロ法を用いて，適応光学における典型的な波面に対する性能評価を行った結果，従来の最小自乗法と比較して，我々の方法の方がより精度の高い波面再構成が実現すること示し，さらに，波面の進行方向に掛けた一様場と波面の滑らかさを強調する結合を有する事前確率モデルを導入することによって，さらに精度の高い波面再構成を実現することを示す．また，スピングラスの統計力学の領域で開発されたレプリカ法を用いて性能評価を行うことが可能であり，上記のの結果を定性的に再現することを明らかにする．