もっと太陽をスマートに活かそう！

摘要

太陽光発電システムは住宅の省エネルギーを実現する切り札のように言われるが，モジュールの発電効率は10％程度であり，入射した太陽エネルギーの90％前後は熱となって利用されていない．また，結晶系PVの発電効率は温度依存性があり，利用されていない熱がシステムの効率低下や部材の劣化を早める要因にもなっている．一方で住宅のエネルギー負荷には暖房，冷房，給湯，調理など熱的負荷が占める割合が高く，家電機器や照明など純粋に電力を必要とする用途負荷の割合は50％程度ある．太陽のエネルギーを電気に変換するだけでなく，これまで十分に利用できていなかった熱利用を進めれば，住宅分野の省エネは改善の余地が高いと考えられる．エネルギーの地産地滑という観点からも，住宅における太陽熱利用を今一度見直す時期に来ていると思われる．住宅に降り注ぐ太陽熱を十分に利用することなく，遠方からの電気やガスを熱に変換して利用するという非効率を改善してゆく上でもPV余剰熱を活用する意義は大きい．