ダイズのジャガイモヒゲナガアブラムシに対する　ムギ類リビングマルチのバンカープラントとしての利用

摘要

ダイズにおいてムギ類リビングマルチを利用することで，それが土着天敵増強の機能も果たし，ジャガイモヒゲナガアブラムシの密度を抑制できないか検討した．ムギ類リビングマルチにおける土着天敵の発生は，6月中旬にヒラタアブ類，7月中旬以降に寄生蜂にょるマミーの発生が多くなった．リビングマルチ区のダイズにおいて，発生が多くなった土着天敵は，6月下旬～7月上旬にヒラタアブ類，8月中旬～9月上旬にアブラコバチ類によるマミーであった．ジャガイモヒゲナガアブラムシの初期発生は，無処理区と比較して有意に低くなったが，その要因としてヒラタアブ類の増強とムギ類リビングマルチの障壁効果の可能性が考えられた．また，後期多発型発生における密度も抑制され，本種の吸汁害である葉の被害面積率および落葉率が低下し，子実の100粒重の低下が抑えられたしかし，後期多発型発生の抑制要因として，やや発生の多かったアブラコバチ頬が主要因であるかは不明であった．