北海道における食用ユリでのユリ類黒腐菌核病の発生

摘要

北海道の十勝支庁管内で，収穫した食用ユリ鱗茎に異変症状が認められた．本症状は初め小さな暗緑色病斑が現れ，薄墨色の変色が拡大し，最終的には球全体が黒変する．異変は鱗片の表面のみで，内部は灰白色水浸状であった．黒変症状を呈した鱗茎からは同一と見られる糸状菌が高頻度で分離され，病原性が確認された．分離菌はSclerotium cepivorum var. tulipaeと同定され，本症状は既にヤマユリで報告のあるユリ類黒腐菌核病と同一のものと考えられた．自然条件下の食用ユリでユリ類黒腐菌核病が発生が認められたのは本報告が初めてである．