B_2O_3を添加したGd-Fe共添加チタン酸バリウムの電気特性に及ぼす焼成雰囲気の影響

摘要

焼結助斉化してB_2O_3を2mol％添加して1250～1380℃で空気中あるいはAr中で焼成したGd-Fe共添加BaTiO_3の電気特性および分光学的特性（拡散反射,ESR）を調べた。 その結果，以下のようなことが明らかとなった。 （1）Fe添加の空気中焼成以外の場合,1300℃以上での焼成により，相対密度94％以上の緻密な焼結体を得ることができ，Gd-Fe共添加BaTiO_3においてB_2O_3は焼結助剤として効果的であった．（2）空気中焼成試料は,高抵抗化または絶縁体化しており，拡散反射スペクトルで可視-近赤外領域での吸収がほとんど見られなかった.一方，Ar中焼成試料では,すべて半導体化し，焼成温度の上昇に伴う粒径の増大により.室温比抵抗は減少した．（3）Fe無添加のAr中焼成試料のPTCRジャンプは，焼成温度によらず,ほぼ1けたと一定であった．一方，Fe添加Ar中焼成試料のPTCRジャンプは焼成温度の上昇ともに増加し,1300℃以上での焼成により,2.7けた以上のジャンプが観測された．ESR測定結果から，Fe~(3+)イオンがAr中焼成においてFe~(2+)イオンに還元されたと推察でき，このFe~(2+)が粒界でアクセプタとして作用してポテンシャル障壁が高くなり,PTCRジャンプ幅が急激に増大したと考察した。