7．クロマグロの初期生活史，生残，加入過程とそれに関わる海洋環境

摘要

クロマグロは，最大体長3m近くに達するマグロ類最大の魚種であり，日本近海からアメリカ大陸西岸沖まで回遊する高度回遊性魚類の代表的な種として知られる．本種は歴史的に顕著な資源量変動を繰り返してきた魚種であり，大規模な年級群が発生した場合には，漁獲量が大幅に増加する年が見られる．一方，初期生活史研究は，産卵から資源への加入に至る生物学的過程を把握するために不可欠な知見である．近年では，生活史初期における成長と生残りの関係が明らかにされた例のように，加入量の決定要因にまで踏み込んだ研究に発展している．そこで，クロマグロにおける最近の主な研究成果を紹介し，今後の研究の方向性を展望する．