食品微生物検査と殺菌と保存技術I: 甘草油性抽聞物寒剤の抗菌活性と飲料への応用

摘要

通常、加工食品の製造では製品の安全性を高める手段として殺菌が行われる。殺菌には様々な方法が確立されており、それぞれの製品で危険性予測の上に、殺菌条件が設定される。 しかしながら、このような努力にもかかわらず、その条件を凌駕する微生物の出現や、衛生的に管理された製造工程をかいくぐって製品中に混入してくる微生物により、食品の変殿事故が引き起こされる。従って、殺菌工程以外にも製品中での微生物増殖のリスクを減らすために二重、三重の手段によつて、より安全性を高める必要がある。 原料に由来する菌数を減らすことも有効な手段ではあるが、殺菌工程を経た後の製品中での微生物の増殖を制御する方法としては保存料や日持ち向上剤の使用が挙げられる。古来より食品の保存性を高める手段として香辛料、シソの葉、ササの葉、柿の葉などの天然素材が利用されてきた。 現在では食品保存技術の発展によって効力の高い合成保存料が主流となっているが、消費者の安全性に対する不安等から、天然成分による保存技術も見直されてきている。