遺伝子組換え高ペクチントマトについて

摘要

有用遺伝子を作物に導入して、新たな有用形質を付与した作物を作出する技術である遺伝子魁換え技術は、近年急速な開発が進み実用化へと進展している。 国内においても、これまでに除草剤耐性のダイズやナタネ、耐虫性のトウモロコシ等の15品目が食品としての認可を受け（1997．12 現在）、海外から輸出されつつある。 遺伝子組換えトマトについては、国内ではまだ実用化はなされていないが、世界的に見ると、遺伝子鮭換え作物の中でも、遺伝子組換えトマトの実用化は最も早く、1994年5月にカルジーン社は、日持ちを向上させた遺伝子阻換えトマト「フレーバー、セーバ」を米国において発売した。その後、イギリスのゼネカ社ほ、1996年に遺伝子魁換えトマトから作ったピューレーをイギリスで発売した。このような状況の中で、われわれはゼネカ社との共同研究にて、ペクチン分解酵素の1つであるポリガラクチェロナーゼ遺伝子の発現を、アンチセンス技術により抑制した高ペクチントマトの作出を試みた。 本稿では、遺伝子観換えトマトの作出法およびわれわれがこれまでにアンチセンス技術を用いて開発してきた高ペクチントマトのメリットならびに生態系に対する安全性評価結果について紹介する。