高強度間欠的運動能は体重の2%の脱水では低下しない

摘要

体重階級制競技（ボクシング、レスリング等）選手はトーナメントを勝ち上がることを最優先 し、運動パフォーマンスの低下や健康への悪影響を省みず体重の軽い階級で出場する事がある。 アマチュアボクシングでは、ノックアウトルールがあるため、ノックアウトのリスクが下がる 軽い階級で出場することは作戦の1つであるという考えがあり、脱水を行ってでも軽い階級で 出場する選手もいる。運動パフォーマンスに対する脱水の影響を検討した先行研究では、体重の2%の脱水から有酸素性運動能は低下するが、筋力、パワーは低下しないと報告されている。 体重階級制競技の多くは間欠的運動であるが、間欠的運動能への脱水の影響をほとんど検討さ れていない。そこで、本研究では、有酸素性運動能が低下し始めるとされている体重の2%の脱 水が、アマチュアボクシングの試合形態を模した高強度間欠的運動パフォーマンスに与える影 響を検討する事とした。また、脱水が生理機能へ悪影響を及ぼさない範囲を明らかにすること は、脱水を用いた減量の安全性を確立する上で重要であるため、血液検査を用いて、肝機能、 腎機能への脱水の影響を評価した。