飼料イネのβ-カロテンおよびα-トコフェロール含量と肉用牛肥育に対応したサイレージ調製

摘要

飼料イネは，水田機能の維持と飼料自給率向上の観点から全国で栽培利用が進められてきている。 しかしながら，肥育牛，特に，肉質向上を目指しビタミンAを制御する肥育経営では，飼料イネのβ－カロテン（プロビタミンA）含量が通常給与する稲わらに比べ多く，牛に給与することにより肉の脂肪交雑や脂肪色に影響するのではとの不安から，利用が躊曙されていることも少なくない。 このような懸念を解消し，飼料イネの利用をさらに推進するためには，飼料イネ中のβ-カロテン含量を明らかにし，稲わら並みの含量に調製することが不可欠である。 一方，肥育牛への飼料イネ給与により，慣行肥育と比較して血中や筋肉中ビタミンE濃度が高くなることから，肉色劣化や脂質酸化の抑制等牛肉の保存性向上が期待されている（畜産技術協会2005）。