沖積期に生きる人類の農業研究

摘要

筆者は昨年21世紀の農業研究について私見を述べた（農業技術57巻10号）。 今度は百尺竿頭一歩を進めて沖積期に生きる人類の農業研究について私見を述べ，若い科学者の野心的研究に対する期待を述べたいと思う。 地球の長い歴史から見ると，現代は沖積期に属するとされている。 地球は水の惑星といわれており，ここに生命を育む植物，人類を含めその80％は水であるといわれている。 沖積期というのは，地球がこの豊富な水，すなわち風雨の影響を受けて平坦化される時代である。 すなわち山は崩れ，土砂が水に流されて氾濫を起こし，土砂を平野に運ぶ時代である。 それは人類が如何に対処しても結局は防ぎようがない時期である。 山崩れを防止するのは自然から見れば逆に自然に対する反逆となるはずである。