ミ卜コンドリアマ卜リクスに局在するプロテアーゼの多様な機能特定タン/《ク質の分解によつて遺伝子発現を制御する

摘要

ミトコンドリアは2つの膜に包まれた構造をもち，外 膜，膜間腔，内膜，マトリクスの4区画に分けられてい る（図1A).ミトコンドリアマトリクスはさまざまな代 謝反応が行われる重要な場所である力5，そこにはミトコ ンドリア独自のDNA (mtDNA)が存在する.哺乳類 のmtDNAには13の呼吸鎖サブュニットとその翻訳に 必要なrRNAとtRNAがコードされているだけで（図 IB),残りのタンパク質はすべて核ゲノムにコードさ れ，それらは細胞質で翻訳された後にミトコンドリアの 各区画へと運ばれ最終的にミトコンドリア内で分解され る.マトリクス側に表出する内膜タンパク質も含め500 以上のタンパク質がマトリクスに存在すると考えられて いる力;，それらの分解はLon, ClpXP, m-AAAの3種の プロテアーゼが担っている（図1A).これらプロテア一 ゼが協調して傷害や構造異常などによる機能不全タンパ ク質の分解を行うことでマトリクス内の機能を正常に 保っていると考えられている力5，それ以外にも特定のタ ンパク質の分解制御を介して核やmtDNAの遺伝子発現 を制御するなど新たな機能が近年明らかになつてきてい る.