神経管閉鎖障害の発生頻度を低減するために：妊婦の葉酸認知率，葉酸サプリメント摂取率，食事からの葉酸摂取量（2002－2007年）

摘要

葉酸欠乏症が神経管閉鎖障害を発生させることは，20世紀後半からしばしば報告されている．例えば1964年には，英国のHibbardが低葉酸血症の妊婦では，神経管閉鎖障害，胎盤早期剥離，巨赤芽球性貧血などの発生頻度が高率であると報告した．そして1991年には英国から，神経管閉鎖障害児を妊娠、分娩した経産婦を対象とした画期的な無作為比較試験が報告された．即ち，妊娠前から葉酸を1日4mg投与すると，神経管閉鎖障害の再発が対照群に比べて72％減少したという．初産婦を対象とした無作為比較試験はハンガリーで（800 mu g／日投与），臨床介入試験は中国で（400 mu g／日投与）で実施された．葉酸の発生防止効果はそれぞれハンガリーで100％，中国北部で79％，中国南部で41％と判明した．