アセトニトリル中におけるビタミンEラジカルの紫外可視吸収 スペクトルへの金属イオンの効果 -ビタミンEラジカルと金属陽イオンの錯形成-

摘要

生体組織においてビタミンEはアルカリ金属イオン やアルカリ土類金属イオンと共存している.これ らの金属イオンは多くの生体反応において重要な役割 を果たしているが，ビタミンEのフリーラジカル消去 反応に対する効果についてはあまり知られていない. そこで，アセトニトリル中におけるビ夕ミンEラジ力 ル（alpha beta-, gamma-, delta -トコフエロキシルラジカル， Toe-)の紫外可視吸収スぺクトルに現れる金属陽イオ ン（Li~+, Na~+, Mg~(2+))の効果を研究し，Toe-と金属陽 イオンの錯形成を明らかにした.実験では25°Cの窒素雰囲気下でストップトフロー分 光法を用いて，アセトニトリル中でビタミンEとアロ キシルラジ力ル（2,6-di-f-butyl-4-(4-methoxyplienyl)phe-noxyl)を急速に混合して反応させることによってToe を生成し，共存させた金属イオンとの錯形成によるToe-のピークシフトや吸光度の変化が紫外可視吸収ス ぺクトルに現れる様子を観測した.また，B3LYP/6-31G**レベル（**は基底関数に分極閨数を付加するこ とを示す）での密度汎関数法（DFT)を用いて，フイチ ル鎖をメチル基に置き換えたToc_と金属陽イオンの 錯形成の計算を行い，実験結果を解釈した.