Bacillus circulansが生産するタ-ガラクトシダ一ゼ製剤 「ビオラクタ」および「ラタトレス」の開発と応用

摘要

beta-ガラクトシダーゼ（ラクターゼ）として既存添加 物名簿に収載（名簿No. 76)されている乳糖分解酵素 は，自然界に広く、存在するカビ，酵母及び細菌（パクテ リア）などの多くの微生物が生産している。このタ-ガ ラクトシダーゼは，基原となる微生物ごとに特有の性質を有しており，例えば，カビ由来のタ-ガラクトシダー ゼは，乳糖分解力の至適pHが酸性付近にあることか ら，ヒトの胃などの酸性域における作用に効力を発揮す るが，反応生成物（ガラクトース）による活性阻害を受 けて乳糖分解力が低下する欠点を有している。一方，酵 母およびバクテリア由来の場合は，いずれも至適pHが 中性付近にあるので，牛乳処理などに効力を発揮する が，前者はマグネシウムイオンで活性化され，カルシゥ ムイオンにより活性が阻害されるなど乳糖分解力は金属 ィオンの影響を受け易く ，後者の乳糖分解力は金属ィォ ンによる影響を受けないという特性を有している。当社は，1976年（昭和51年）に乳糖分解酵素を生産 するバクテリアを土壌中より分離し，分離菌の形態学的 或いは生理学的特性よりBacillus circulansと同定し， 薬剤変異による改良を繰り返し，優良菌株の取得に鋭意 努力し，1991年（平成3年）企業化に成功した。