糸状菌Trichod,a viride由来の抗腫瘍性酵素 しリシンalpha-ォキシダーゼの組換え発現，分子特性及び結晶構造の解析

摘要

L-リシンalpha-ォキシダーゼ（LysOX) (EC 1.4.3.14)は， 補酵素にFADを有するフラビン酵素で，しリシンの酸 化的脱ァミノ反応を触媒し，a-ケト￡ -アミノカプロン 酸，過酸化水素，アンモニアを生産するレアミノ酸ォ キシダーゼ（LAO)の一種である一般に知られてい る蛇毒由来LAOは，基質特異性が低いがしリシンには ほとんど作用しない2''.し力、し，糸状菌7h'c/iOfifemM viride由来LysOX (Tv LysOX)は他のLAOとは違レゝ， レリシンに対して高い基質特異性（Km=40 muM)を持つ ている.さらに，本酵素は温度やpHに対しても高い 安定性を有しており，601:, 30分間の熱処理でも 90%以上の残存活性を示す.このため，食品工業分 野においてバイオセンサーとしてレリシンの微量定量 ゃネ金,屮,に室ffl化されている.また.Tv LysOXはマウスの腫瘍細胞に対して強い抗腫瘍性を示し，ヒト のガン細胞においても顕著な抗腫瘍性を持っているこ とがこれまでの研究によって明らかとなっている.著 者らはヒトの肺腫瘍細胞（RERF-LC-AI)と子宮頸がん 細胞（Hela)を用レ、，正常細胞のHUVECにTv LysOX の細胞毒性を検討した.腫瘍細胞のRERF-LC-AIと Helaは，3 mU/mlのLysOXの添加で4日後には多くの 細胞が死滅していた（図1A).—方正常細胞では，同 じ3 mU/mlのLysOXの添加でも80%の生存率であり， 腫瘍細胞に対する選択毒性を示した.