人工飼料とバナナで飼育したミカンコミバエにBactrocera dorsalis)の幼虫発育期間及び産卵前期間

摘要

ミカンコミノェ、Bactrocera dorsalis)は、東南アジア を中心に分布し幼虫が果樹や果菜類に被害を及ぼす害虫と して世界的に知られている。我が国ではかつて南西諸島及 び小笠原諸島に分布していたが、国と地方自治体が行つ た根絶事業により1986年に根絶された（YOSHIZAWA, 1997)。そのため、我が国では現在全国の海空港周辺を中 ;6に侵入警戒調査を実施して、本種の再侵入を警戒してい る。.万が一侵入警戒調査においてミカンコミバエが発見さ れた場合は、速やかに緊急措置が執られることになるが、 その際羽化時期やその後の世代経過をいかに正確に予測す るかということが、具体的な対応を考える上で重要とな る。こうした予測は通常既存の発育零点及び有効積算温度 等の発育パラメーターを用いて行うこととなる。ミカンコ ミバエの発育パラメ一ターに、ついては、小泉.柴田(1964) をはじめ、佐伯ら（1980)、 VARGAS et al.(1984)など があるが、これら報告を比較まると、幼虫、成虫とも黄熟 バナナを飼料として飼育した供試虫を用いた小泉、柴田 (1964)の報告における産卵前期人工飼料を用いて 飼育した供試虫を用いた他のに比べて著しく長い。