地中海における蓄養型クロマグロ養殖-現状と将来-(パート2)

摘要

日本市場における養殖クロマグロ需要の増加と価格上昇がクロマグロ養殖事業推進の一因となり、地中海での蓄養事業は盛り上がつていつた。しかし最近では漁獲圧の増加によるクロマグロ資源量の減少が深刻になりつつある。蓄養型クロマグロ養殖は、巻き網で漁獲される収穫物の組成把握を困難にし、資源量の把握を複雑にし、資源割当量の決定をも難しくしている。というのも、蓄養が終了した段階でのみ漁獲に関する実際のデータや大きさのサンプルを得ることが可能になるからである。ICCATは、大西洋やその隣接した海域のマグロ類を管理し、これら資源の持続将来的利用のための割当量を決定する。しかし、ICCATは推奨するだけであり、漁獲方針の決定は個々の国の選択に任されている。延耦ゃ巻き網のような新技術および蓄養事業の出現は、クロマグ口漁業とその管理に後戻りできない変化をもたらした。また、クロマグロ蓄養事業は多くの批判にさらされているのも事実である。確かに完全養殖技術は進歩しているが、現状では蓄養用マグロ種苗の大部分を天然資源から得なければならない。