古くて新しい「系譜の科学」－歴史推定のための一般的方法について－

摘要

本連載の最初の回に，佐倉統が指摘した点を思い起こそう：「生命体以外のものにも進化の概念を適用することは，誤りではない．むしろ，積極的に奨励されるべきとさえいえるかもしれない」（文献1 p．102より）．生物の進化現象についての理解が社会の中でどのくらい浸透しているかは，それ自体が論議されるべきテーマである．しかし，程度の差こそさまざまであったとしても，生物進化という「変化の理論」があることはすでに広く認知されている．とすると，そのような「変化の理論」を生物以外のものにも適用できないかと考えることは，これまた当然な思考の成り行きだろう．