香りの切り替えに対する反応時間に及ぼす音刺激の影響

摘要

五感の中でも嗅覚を通して得られる情報は、他の感覚とは異なり大脳辺縁系に直接伝わるため、人間の記憶や情動と深い関わりがあるといわれている。そのため、嗅覚情報は感覚的な情報を伝えやすく、視覚情報や聴覚情報とともに用いることで臨場感を向上させる効果がある。近年映画館やアミューズメントパークで行われている香り付き映像の取り組みでは、映像の視聴者全員が香りを感じることができるようにするため一度に大量の香りを提示することが多い。その場合、香りが空間全体に拡散し残留してしまうため香りの種類を瞬時に切り替えることは困難である。そのため、連続した異なるシーンに香りを付加する例はほとんどなく、ある特定のシーンのみで香りを付加することが多い。連続した異なるシーンに香りを付加する場合、映像の切り替えと同時に香りを切り替える必要がある。そこで、本研究ではシーンの転換時に香りを付加することを想定し、香りの切り替えに対する人間の反応を調査する。映像に香りを付加する場合、嗅覚刺激とともに聴覚刺激や視覚刺激が提示されるため、嗅覚刺激以外の刺激が香りの切り替えに対する反応に及ぼす影響について調べる。その中でも、本研究では音という聴覚刺激に注目し、音の転換時に香りを付加した際の香りの切り替えに対する反応時間を計測する。