大陸衝突型造山帯で岩石は高速移動するか—地下深部由来の鉱物に火山岩様物質を発見

摘要

われわれの足元にある地球の内部はどうなっているのか，またそこではどんなことが起こっているのか，誰もがもつ疑問であろう。最近の科学技術の進展により地球内部の様子はかなり把握できるようになった。しかし2っの障壁のために地球の内部はまだよくわかっていない。1っは空間的な問題で，固体地球の内部に入り込んで，その場で観察や観測，試料採集ができないことである。半径約6400 kmの地球において，人類がこれまでに到達できた最大深度は12 kmあまりで，0.2%にも満たない。だが幸いなことに，天然の過程によって，かって地下100 km以上の深度にあったと考えられる岩石が地表にもたらされており，それらを対象にした研究ができる。2つ目は時間の問題である。人類の科学的な研究が始まってからの時間（せいぜい数千年）と地球ができてからの時間(約45億年）は析違いであり，しかも地球の激しい活動はェピソディック（断続的)であるため，われわれはまだ固体地球の本当の激動を経験したことも観測したこともないのではないだろうか。