ポス卜冷戦，ポス卜911の科学技術と政策

摘要

科学技術政策は，1970年代末以降の経済情勢， 国際情勢の変化により.大きく変容した。1980 年代には東西冷戦は徐々に終結へ向かい，国際的 な関心事は軍事的緊張から経済問題へとシフトし ていった。科学技術政策の性格も.冷戦期(ぉよそ 1970年代まで)，冷戦終焉期（19S0年代),ポスト冷戦 期(1990年代)で大きく変わった。冷戦期から冷戦 終焉期を経てポスト冷戦期へ移行する中では.軍 事研究の後退.イノベーションへの関心の高まり， 地球規模環境問題ゃゲノム研究の進展がみられた。 21世紀に入ると情報関連技術(IT)ゃゲノム研究が 進展する中で，ベンチヤー企業がイノベーション の主要な担い手になるなど，科学技術および科学 技術政策は新しい時代に入った。そこには， 2001年9月11日の米国同時多発テロとそれに 続く対テロ戦争の影響がみられる。そこで， 2001年以降をボスト911期と呼ぼう。本稿では. 冷戦終焉期，ポスト冷戦期，ポスト911期の各 時代の科学技術と科学技術政策の変化を描く。主 として米国の動向を取り上げるが，必要に応じて 欧州や日本の状況につレゝても言及する。