膵臓のないブタに健常ブタ由来の膵臓を再生: 中内•東大医科研教授らの研究チーム成功

摘要

東京大学医科学研究所の中内啓光教授、松成ひとみERATO研究員、明治大学農学部の長嶋比呂志教授らは、膵臓のないクローンブタを作製するとともに、そのブタに健常ブタの胚細胞由来の膵臓を作ることに成功した。大型動物に人間の臓器を作らせて移植する再生医療の実現に向けて大さな一歩となる。しかし現在のガイドラインでは、ヒトES•iPS細胞を注入した動物の胚をその子宮に戻すことは禁止されている。中内教授は「ガイドライン改正は2年ぼど前から要望しており、答えを待っている状態。今回の論文発表を受けて、世界中で研究が進むだろう。もし日本で不可能だということになれば、海外での研究も視野に入れている」と話している。PNASオンライン版に掲載された。日本では30万人が慢性腎不全のため人工透析を受けており、毎年1兆3000億円を超える医療費が費やされている。さらに糖尿病の増加に伴い腎不全患者は毎年1万人増加している。また、心臓、肝臓、肺、膵臓等の移植を希望する患者は多数いるが、ドナー不足と高額な費用のため手術は難しい。さらにWHOが渡航移植を禁止することを検討するなど、海外移植の道も閉ざされつつある。