外来種を駆除することは人間のエゴなのか：科学と倫理の交差点→第6回(終)

摘要

地球上にはさまざまな生物が生息し，複雑な生態系を形づくっている。しかし，近年人間の活動によって森林が伐採されたり，ほかの地域から外来種がもちこまれたりして，本来そこにあった生態系のバランスがくずれ，急激な速さで動植物の絶滅が進hでいる。この問題を解決するため，1992年にブラジルで開催された国連環境開発会議(地球サミット)がきっかけで，「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)」が発効された。日本も1993年にこの条約を締結し，2006年には「外来生物法」が施行された。この法律は，外来生物(国外から日本に入ってきた外来種)によって生態系のバランスがくずれたり，人に危害を加えたり，農林水産業に被害をおよぼしたりするのを防ぐことを目的としている。