火山列島に生きる: 歴史が教える過去の教訓•現代の課題

摘要

2011年の東日本大震災における津波災害では、1896年の明治三陸津波や1933年の昭和三陸津波による惨状を記した石碑が次の津波の警告を発していたにも関わらず、その備えが不十分で再び災禍に見舞われたことを私たちは忘れてはいけない。「過去の災害の教訓を次の災害の対策に活かすこと」が先の震災の教訓であり、そのことを後世に伝えることが私たちの責務である。翻つて日本は火山列島であることは広く知られた事実であり、歴史や理学研究によると過去の大規模噴火により都市文明が壊滅した大惨事があつたことを聞く機会はしばしばある。しかし大地震や大津波に対してそうであつたように、私たちはこうした火山災害に対する備えは十分であろうか。起こりうる可能性を認知しているものの、無意識のうちに不可抗力だと捉えて、想定することを頭の外に追いやっていないだろうか。