大学生を対象とした経験的側面から見る 場所への愛着の形成パターンに関する研究

摘要

日本は、2004年をピークに人口減少時代に突入し社会構造の転換期を迎えた。そして、近年の建築や都市計画の分野においても住民の意見を取り入れたまちづくりが盛hになされるようになつた。その際に、人々が抱く 「場所への愛着」はーつの重要な側面とされ、1990年代頃から日本でも盛hに行われている「愛着」の研究が、'街づくりに活かされつつある。1970年代、イーフ一•トウアンは「親密な場所は"とらえどころがなく個人的なもの"であり、"記憶の奥深いところに縛り付けられて"いるもの」であると述べ、重要な場所への愛着が、いかに個人的な経験で、かつ記憶の奥深いところにあるかを示した。しかし、建築学や都市計画学での場所への愛着の既往研究では愛着の構造や環境的観点、愛着と他の要素の相関などの分析にとどまり、個人的な経験はその私的さゆえに十分に言及されず、記憶の奥深いところを探る質的研究も少ないのが現状である。既往研究に加えて、記憶の奥深いところにある個人的な経験に着目し愛着の形成理由を明らかにする本研究の位置付けは、1.3で詳しく説明する。