物的手掛かりが少ない環境下での音声経路案内の有効性: スマートフォンの音声経路案内を用いた視覚障害者の歩行に開する研究その1

摘要

視覚障害者が全く初めての場所を単独で歩行するには多くの困難を伴う。しかし、歩行しょうとする視覚障害者自身の位置を高精度に測定し、その情報にもとづいて逐次音声により経路案内を行えば、初めて訪れる場所でも単独で歩行できるようになれると推察される。そこで筆者らは、視覚障害者にも普及しつつあるスマートフォンを用い、高精度に位置情報を推定でき、逐次適切と思われる音声経路案内を視覚障害を持つ歩行者に提供するシステム~(注1))(以下、本音声ナビ）を開発した。本報告では、とくに物的な手掛かりが少ない環境で、本音声ナビがどのように有効であるかを検討した。ここで言う物的手掛かりとは、視覚障害者が歩行する際に利用する環境情報のうち、とくに進行方向や自己位置の把握に役立つ壁、手摺、視覚障害者誘導用プロック、床の仕上げ材等、白杖や手足で直接触れることで、自分の位置や方向等の情報を得られる環境要素である~(注2))。こうした手掛かりが少ない場所では、音声案內の情報がより有効であろうと考えた。%Supporting the walk or visually impaired people, we develop the turn-by-turn voice navigation system based on a smartphone. This paper reports that we conducted the walking tests with 10 blind and low vision participants to verify the effectiveness of the voice navigation system in the environment with few physical clues. We conducted 2 types of test: A) walking skill test and B) walking test using the navigation. Then, we find out from this test as follows: 1) Voice navigation is hard to correct their veering. 2) Localization error has to be within about 1 meter that one's cane reaches.