胃切除術後の2型糖尿病症例における著明な血糖変動に対してCGMが有用であった1例

摘要

はじめに一般的に胃切除術後には血糖動態が変化し著明な血糖変動をきたすことが多い.胃切除術後合併症の1つとして後期ダンピング症候群は有名であり，上部消化管の内容量減少のために生じる食後の急峻な高血糖に対してインスリン過剰分泌をきたすために生じる，胃切除術後の血糖変動に対する治療では急峻な高血糖の是正が必要であり.糖質の多いものを避けること，1回食事量を抑え，ゆっくり食事をとるように指導することなどの食事療法が行われる.また，食事療法で治療困難な場合には.薬物療法としてαグルコシダーゼ阻害薬(α-glucosidase inhibitor: αGI)が投与されることがある.しかし.その高血糖パターンは個々でさまざまであるため治療に難渋することも多い.胃切除術後の血糖変動に対して有効な治療を行うためには，まず血糖推移を把握し.それに対し適切な治療を選択する必要がある.今回，胃切除術後の2型糖尿病症例の血糖推移を24時間持続血糖モニタリング(continuous glucose monitoring: CGM)を用いて検討することで，至適な治療が可能となった症例を経験したので報告する.