「ありそうでない」座右のデータ集

摘要

わが国の公的医療保険は1961年に皆保険を達成し、半世紀にわたり制度を維持してきた。「世界に冠たる」という誇らしげな言説を目にするI方、わが国の医療保険の実態はとかく複雑だ。皆保険以前から根づいていた健保組合などの自生的な体系を下敷きにし、給付の公平化を優先した統制的な制度改正を無数に経て、今や築50年超の巨大構造物となった。さらに、そこには年間40兆円に上る「維持費」を要している。近年は、この維持費=医療費の増減をめぐるステークホルダー間の駆け引きぱかりが近視眼的に取り上げられる。肝心の物件自体はわずかな手直しにとどまり、耐久性はかなりおぼつかない。